宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
第23話 よろこびの調べ
日が昇る直前、暁の時刻にリーゼロッテは浅い眠りからふと目覚めた。神経が高ぶって、寝台で眠ることなどできなかった。窓辺で毛布に包まりながら、アルフレート二世を胸にようやく寝入った矢先のことだ。
鍵が回される音に戦慄が走る。再びあの男がやってきたのか。
「リーゼロッテ様ぁ、わたしですぅ」
ベッティのささやき声に力が抜ける。アルフレート二世を放り出して、一目散に抱きついた。緊張の糸がぷつりと切れて、あふれ出た涙が止められなくなる。何も言わずに背をさすりながら、ベッティはやさしく抱きしめてくれた。
「体はどこかおつらいところはございませんかぁ?」
しばらくすると、ベッティが気づかわしげに聞いてきた。自分が襲われたと思っているのかもしれない。守り石を手に、リーゼロッテは首を振った。
「危ないところだったけれど、わたくしちゃんと逃げ切れたの。ヴァルト様の石が守ってくれたから」
「ではやはり黒幕はここにやってきたのですねぇ?」
頷くとベッティは再びリーゼロッテを抱きしめた。
「よく頑張られましたねぇ。さぞや怖かったことと思いますぅ」
「ありがとう……ベッティ」
「今回はベッティの不手際でしたぁ。そばでお守りできなかったこと、お詫び申し上げますぅ」
「いいえ、あれをわたくしが口にしてたら、きっともっとひどい事になっていたわ。こうして無事でいられるのもベッティがいてくれたおかげよ」
「そう言っていただけるとベッティも気が軽くなりますよぅ」
ほっとしたようにベッティは少しだけ笑った。そこに疲労の色を見て、リーゼロッテは慌ててベッティを椅子に座らせる。
「ベッティこそ大丈夫なの? つらいのにわたくしの様子を見に来てくれたのよね? ごめんなさい、無理させているのに気が回らなくって」
「……リーゼロッテ様はぁ、本当におやさしいですねぇ」
鍵が回される音に戦慄が走る。再びあの男がやってきたのか。
「リーゼロッテ様ぁ、わたしですぅ」
ベッティのささやき声に力が抜ける。アルフレート二世を放り出して、一目散に抱きついた。緊張の糸がぷつりと切れて、あふれ出た涙が止められなくなる。何も言わずに背をさすりながら、ベッティはやさしく抱きしめてくれた。
「体はどこかおつらいところはございませんかぁ?」
しばらくすると、ベッティが気づかわしげに聞いてきた。自分が襲われたと思っているのかもしれない。守り石を手に、リーゼロッテは首を振った。
「危ないところだったけれど、わたくしちゃんと逃げ切れたの。ヴァルト様の石が守ってくれたから」
「ではやはり黒幕はここにやってきたのですねぇ?」
頷くとベッティは再びリーゼロッテを抱きしめた。
「よく頑張られましたねぇ。さぞや怖かったことと思いますぅ」
「ありがとう……ベッティ」
「今回はベッティの不手際でしたぁ。そばでお守りできなかったこと、お詫び申し上げますぅ」
「いいえ、あれをわたくしが口にしてたら、きっともっとひどい事になっていたわ。こうして無事でいられるのもベッティがいてくれたおかげよ」
「そう言っていただけるとベッティも気が軽くなりますよぅ」
ほっとしたようにベッティは少しだけ笑った。そこに疲労の色を見て、リーゼロッテは慌ててベッティを椅子に座らせる。
「ベッティこそ大丈夫なの? つらいのにわたくしの様子を見に来てくれたのよね? ごめんなさい、無理させているのに気が回らなくって」
「……リーゼロッテ様はぁ、本当におやさしいですねぇ」