友達なんだと思ってた。
第八章 空
家に帰る途中。
ふと空を見上げると、雲の切れ間から夕日が差していた。
茜色の雲と、もう直ぐ沈みそうな太陽。
眩い光に思わず目を細める。
ひとりで歩く帰り道は、最初はさみしかった。
空を見ずに、ただ俯いて鞄を持ち直していた。
でも、こうして歩いていると、少しだけ自由になれる気がする。
誰かの顔色をうかがう必要もない。
誰かのために無理して笑わなくていい。
少しずつ、わたしは、わたしを取り戻し始めていた。