可愛い後輩くんは、スポーツ系御曹司でした ~秘密のギャップで溺愛されています~

第2話:お誘い

「えっ……ナイトプールパーティー?」

 休日に、私は麻布台(あざぶだい)のホテルに来ていた。
 都心にできたばかりのお洒落(しゃれ)な高級ホテルで、アフタヌンティー女子会をするためだ。

 集まったのは、職種は違えど同年代のバリキャリたち。
 アパレル、化粧品、エステなど、女性をターゲットにした仕事に()いている人たちだ。

 交流会で知り合って以来、たまに集まって情報交換をしている。
 友人同士の楽しみというよりは、仕事がらみのパワーランチと言えるだろう。

 今日も有益(ゆうえき)な話ができたと思ったら、エステ店を開業している(もり)さんから、パーティーに誘ってもらった。

「そう! ここのホテルの最上階がプールになっているの」

 森さんが手を組むと、綺麗に手入れされたネイルがきらりと光る。
 手足の隅々(すみずみ)まで手を抜かない人なのだ。

「そこで交流会をするんだけど、よかったら皆さんも来ない?」
「えー、行く行く!」

 パワーランチメンバーがすぐさま声を上げる。
 だけど、私は一拍(いっぱく)遅れてしまった。

 だって、私は泳げない。それどころか水が怖い。
 誰にも言ったことはないが、隠れカナヅチなのだ。

「ナイトプールなんて初めて! 楽しみ!」

 なのに、口が勝手に動いてしまった。
 だって、せっかくのお誘いを断ったら空気が悪くなる。

 新しい出会いだってなくなってしまう。
 置いていかれたくない――そんな焦りがある。

「じゃあ、招待状を送るね!」

 森さんの言葉に、私は引きつった笑みを浮かべた。
< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop