ガラスの魔法、偽りの花嫁
第21章 永遠の香り
新製品の発表会が再び開かれる日が訪れた。
先日の情報漏洩で揺れたブランドの信用を取り戻すため、透真と玲奈にとって絶対に失敗できない場だった。
会場は華やかな照明に彩られ、記者や来賓たちで埋め尽くされている。
玲奈は深呼吸をして壇上に立った。
その横には透真が並んでいる。
かつては冷たい仮面をまとっていた彼の横顔に、いまは確かな決意が宿っていた。
玲奈が紹介の言葉を述べようとした瞬間、会場の扉が開き、美咲が現れた。
記者たちがざわめき、カメラのフラッシュが一斉に光る。
「待って!」
美咲の声が響いた。
「その香水は――私との記憶から生まれたものよ!」
玲奈の胸が締めつけられる。
場内が騒然とする中、透真が一歩前に出た。
「それは違う」
彼の声は低く、しかし会場全体に響き渡った。
「この香りは、御園玲奈のために作った」
会場に静寂が落ちる。
「彼女が纏っていた涙の色、隠していた心の声。
そのすべてを閉じ込めたのが、この“永遠の香り”だ。
俺のブランドは、彼女がいなければ存在し得ない」
その言葉は、世間の目を恐れず放たれた真実だった。
美咲の顔が引き攣る。
「嘘よ! あなたは私と――」
「過去はどうでもいい。俺が愛しているのは玲奈だ」
透真は玲奈の手を取り、力強く握った。
玲奈の頬を涙が伝う。
それは悲しみの涙ではなく、胸の奥から溢れる歓びの涙だった。
玲奈は壇上で香水の瓶を掲げた。
「この香りは、誰かの心を縛るためのものではありません。
本当の自分を解き放ち、自分らしく生きるための香りです。
そして……私自身が、その魔法に救われました」
大きな拍手が巻き起こる。
会場の空気は熱を帯び、二人を祝福するかのように広がっていった。
発表会が終わり、夜風が吹くバルコニーで二人きりになった。
透真は玲奈の肩を抱き寄せ、囁いた。
「玲奈……これからも、俺の隣にいてくれるか」
玲奈は微笑み、涙を浮かべながら頷いた。
「はい。どんな時も、透真さんの隣に」
夜空に浮かぶ月明かりの下、二人は静かに唇を重ねた。
その瞬間、玲奈の胸に確かに宿ったのは――“永遠の香り”。
先日の情報漏洩で揺れたブランドの信用を取り戻すため、透真と玲奈にとって絶対に失敗できない場だった。
会場は華やかな照明に彩られ、記者や来賓たちで埋め尽くされている。
玲奈は深呼吸をして壇上に立った。
その横には透真が並んでいる。
かつては冷たい仮面をまとっていた彼の横顔に、いまは確かな決意が宿っていた。
玲奈が紹介の言葉を述べようとした瞬間、会場の扉が開き、美咲が現れた。
記者たちがざわめき、カメラのフラッシュが一斉に光る。
「待って!」
美咲の声が響いた。
「その香水は――私との記憶から生まれたものよ!」
玲奈の胸が締めつけられる。
場内が騒然とする中、透真が一歩前に出た。
「それは違う」
彼の声は低く、しかし会場全体に響き渡った。
「この香りは、御園玲奈のために作った」
会場に静寂が落ちる。
「彼女が纏っていた涙の色、隠していた心の声。
そのすべてを閉じ込めたのが、この“永遠の香り”だ。
俺のブランドは、彼女がいなければ存在し得ない」
その言葉は、世間の目を恐れず放たれた真実だった。
美咲の顔が引き攣る。
「嘘よ! あなたは私と――」
「過去はどうでもいい。俺が愛しているのは玲奈だ」
透真は玲奈の手を取り、力強く握った。
玲奈の頬を涙が伝う。
それは悲しみの涙ではなく、胸の奥から溢れる歓びの涙だった。
玲奈は壇上で香水の瓶を掲げた。
「この香りは、誰かの心を縛るためのものではありません。
本当の自分を解き放ち、自分らしく生きるための香りです。
そして……私自身が、その魔法に救われました」
大きな拍手が巻き起こる。
会場の空気は熱を帯び、二人を祝福するかのように広がっていった。
発表会が終わり、夜風が吹くバルコニーで二人きりになった。
透真は玲奈の肩を抱き寄せ、囁いた。
「玲奈……これからも、俺の隣にいてくれるか」
玲奈は微笑み、涙を浮かべながら頷いた。
「はい。どんな時も、透真さんの隣に」
夜空に浮かぶ月明かりの下、二人は静かに唇を重ねた。
その瞬間、玲奈の胸に確かに宿ったのは――“永遠の香り”。