リストラ保育士のお見合い相手はまさかの子連れ騎士団長?! 異世界で子育てライフを楽しみます!
「ちょっと待って。セブランさん、三十になるんでしょ? いっちゃんが三十五歳。いっちゃんが結婚すればいいんじゃないの?」
 そこでコーヒーをずずっとすする。いぶしたような苦みが舌の上に残り、やっと目が覚めてきた。
「あ、言ってなかった? 私、十年前に結婚したの。あっちの人とね。子どもも三人いるの」
「は?」
 目が点になるとは、まさしくこのことを言うのだろう。
「私、結婚式にお呼ばれしてないし。旦那さんにも子どもたちにも会ってないし。私のいとこになるわけでしょ?」
「ごめん、ごめん。だからあっちの人だからさ。私は自由に行き来できるんだけど、旦那と子どもは手軽にこっちに来れないし」
 叔母の言うことはよくわからない。まだ夢を見ているのだろうか。
 ぱちぱちと瞬いてから、もう一口、コーヒーを飲む。だがコーヒーの味もしっかりわかるから、やはり夢ではないようだ。
「いっちゃん。この十五年間、どこでどうやって過ごしていたのか、教えてよ。お母さんも、いっちゃんについては何も教えてくれなかったし……」
「多分、姉さんも、言っても信じてもらえないと思ってたみたい。だから、私の結婚も出産も、ここちゃんには伝えてなかったんだろうね。それに、中学生、高校生って多感な時期だもんね」
 だけど十五年前までは、頻繁に顔を合わせていたし、仕事で忙しい両親のかわりに私の面倒をみてくれていたし。私にとっては叔母というよりは、姉のような存在だった。
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