リストラ保育士のお見合い相手はまさかの子連れ騎士団長?! 異世界で子育てライフを楽しみます!
 どう? と言われても、一瞬、私の頭はフリーズした。アンクトン王国という国名を、残念ながら聞いたことがない。もしかして、ヨーロッパにあっただろうか。いや、似たような名前はアンドラ公国だ。
 必死で頭の中でアのつく国名を考えるが、アメリカしか出てこなかった。
「いっちゃん、私、アンクトン王国って知らない」
 叔母を昔のように呼んでしまった。それだけ私は動揺していた。
「あ、うん。そうよね。あっちの世界だから……」
「あっち? あっちってどっち? そういえば、いっちゃんは今までどこにいたの?」
 成人したから大人っぽいふるまいをしようと思っていたのに、そんな意識は吹っ飛んだ。
 コーヒーメーカーがごぼっごぼっと、なくなった水を吸い上げようとする音で、我に返る。
 マグカップにコーヒーを注ぐ。それを二つ手にして叔母の元に向かい、一つを手渡した。
「ありがとう。ごめんね、急な話で驚いているよね?」
 こくこくと頷きながら、叔母の向かい側に座った。
 カップから立ち上る湯気とともに、コーヒーの芳ばしいにおいもふわっと広がる。
「ここちゃんとは十五年ぶりだし……十五年間、私がどこにいたのか。ちゃんと説明するね。それを聞いたうえで、お見合いをするかどうか、決めてほしいんだけど……。でも、絶対にここちゃんにぴったりな相手だと思うの。セブラン、イケメンだし、面倒見もいいし。でもね、なんかこう、不幸体質っていうか……」
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