継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
「ペンロド公爵夫人の怒りを買ったら、やっと安定した商会との繋がりも危うくなると思うのよ」

 今まさに頭痛の種となっているものを書状の束から引っ張り出して、ダリアに渡した。

 それを受け取ったダリアから視線をそらし、ティーカップの中を覗いた。
 少し冷めた鮮やかな紅茶が揺らめく。

 先が思いやられるなと溜め息をつけば、ダリアは「ウィンズロー商会ですか」と尋ねた。

「そう。ペンロド夫人と懇意にされてる商会だから、無下には出来ないのよ」
「お嬢様が若いからといって、足元を見てくる銭ゲバじゃありませんか」
「銭ゲバって……」

 ウィンズロー商会は金のためなら何でもすると噂だ。彼らの本国に暴力行為を意味するゲバルドという言葉があり、それと銭をくっつけて、お金に汚い人を「銭ゲバ」とからかうようになったらしい。

 不愉快そうな顔のダリアに苦笑い、私は小さなクッキーを口に入れた。
< 20 / 207 >

この作品をシェア

pagetop