継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
お茶会の場は、ロックハート領の東に位置するメートランド地方で一番栄える地方都市リリアード。レドモンド家の領地からは、馬車で三日ほどの場所になる。
お父様が勤めていた魔術師第五師団の砦から近いこともあり、最初の面談には丁度いだろうと、ロックハート侯爵様が決められたのだ。
そのお茶会に、今、向かっているわけだが……
「ダリア……やっぱり、気が進まないわ」
「お屋敷のことでしたら、ご心配には及びません。私の両親が中心となって政務も取り仕切れるよう態勢を整えました」
「えぇ、ダリアのご両親のことは信じているの。でも、そうじゃなくて……」
馬車の窓から見える荒涼とした丘は、どこまでも続いている。赤紫色をしたヒースの花が風に揺れる姿は、まるで、私のざわめく心を現しているようだ。
お父様が勤めていた魔術師第五師団の砦から近いこともあり、最初の面談には丁度いだろうと、ロックハート侯爵様が決められたのだ。
そのお茶会に、今、向かっているわけだが……
「ダリア……やっぱり、気が進まないわ」
「お屋敷のことでしたら、ご心配には及びません。私の両親が中心となって政務も取り仕切れるよう態勢を整えました」
「えぇ、ダリアのご両親のことは信じているの。でも、そうじゃなくて……」
馬車の窓から見える荒涼とした丘は、どこまでも続いている。赤紫色をしたヒースの花が風に揺れる姿は、まるで、私のざわめく心を現しているようだ。