一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
運ばれてきたのは淡い色合いのカクテル──ピーチフィズ。

グラスに添えられた桃の香りが、ふんわりと鼻をくすぐる。

「今日は本当にありがとう。お疲れ様。」

聖さんがグラスを掲げる。

「……はい。」

私もそっとグラスを合わせた。

乾杯の音が心地よく響き、炭酸の泡が舌の上ではじける。

甘く爽やかな味わいに、緊張していた体がふっとほどけていく。

(ああ、これで役目を終えたんだ……)

そう思った瞬間、聖さんが懐から封筒を取り出した。

「これが約束の小切手だ。」

差し出された紙片を震える指で受け取り、バッグの中に大事にしまう。

「有難く頂戴します。」

たった一晩の契約で百万円。

数字の重みを思えば、金銭感覚がおかしくなりそうだ。

グラスを口に運びながら、思わずクスクスと笑ってしまった。

「でもまさか……成功するとは思ってませんでした。」

そう呟いた自分の声が、夜景の輝きに溶けていく。

その横で、聖さんはゆったりとした微笑みを浮かべ、じっと私を見つめていた。
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