Moon Venus
「…詩音…やっと会えた」



何故か自分は気付くと泣いていた

頭1個分高い所で座っている、その彼女も泣いていた



「…あたしを呼んだのは……あなた?」


「そう……会いたかった」



あたしは別に会いたくなかったよ…


そう言葉にしては言えなかった


そりゃそうだろう



飛鳥の家に夕飯を招待されていた

ベッド上とクローゼットを片付けたら、行こうと思って、外から帰ったままの格
好だったのに



わけのわかんない世界に来て…



「ねぇ……あたしを元の場所に帰して……」


それは出来ない、とでも言うように顔を伏せた彼女


「あんたが呼んだんでしょ!?」



帰して!

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