気まぐれヒーロー2
じゃあ夜な夜な、立派なショッカーになるための講座を開いたり、正義のヒーローを倒すための特訓とかしてるの!?
『変身するポーズをとってる間に攻撃しちゃえばいいんじゃん』とか教えてたり……!?
ヒーローだと思ってたのに……!
むしろ見せ場の変身シーンを邪魔するなんて、ヒーロー泣かせの極悪人じゃん……!!
「ヒキョーものーー!!!」
ハイジを殴ろうとした瞬間、あっさり拳を掴まれた。
ヤツの顔が、じわじわと意地悪な笑顔に変わっていく。
めちゃくちゃ不快だった。
「やっぱな~。お前ならスバラシイ妄想をしてくれると思ったんだよな~。なあ、どんな妄想してたの?ボクにおせーて?」
なんと。
あの『ショッカー養成所』は、私を妄想させるための罠だったのだ。
まんまと引っかかってしまった。
やられた!!
いつの間にかこのまりもっこり、腕を上げおった!!
「キー!!ム、ムカつくー!!」
「うはははは!!お前の怒った顔ウケんな〜」
ハ、ハラワタが煮えくり返りそうだ。
こんなおバカなまりもにしてやられるなんて……!!
「仲ええな~」と笑ってるケイジくんを、思いっきり睨みつけた。
ムカムカする気持ちをなんとか鎮めつつ、学校へ向かって歩いていると──
途中の空き地の前で、ハイジが立ち止まった。
「お、見てみろよ。家持ちのナメクジがいんぞ」
家持ちのナメクジ?
何それ、と思ってハイジの指先を見ると、葉っぱの上を一匹のカタツムリが這っていた。
「バカね、これはカタツムリって言うのよ」
「バカとはなんだ。お前なー、コイツはお前より偉いんだぞ」
「は?」
「この不況の時代にこんなでっけえ家を手に入れたんだ、いわばこの家持ちナメクジは勝ち組なんだ」
「…………」
ハイジって、本当にバカなんだと思った。
蔑むようにヤツを見て、少し間を置いてから、ため息まじりに「バカ」と言ってみた。
ハイジがキレた。
「てめえ、この俺を小バカにしやがって!!許せねえ!!」
落ちてたカタツムリの抜け殻を拾って、私めがけて投げつけてくる。
「わっ」
殻は狙いが外れて、頭上をかすめ──
「あたっ」
背後から聞こえた声。
見ると、ケイジくんの顔に見事ヒットしていた。
悪びれることもなく大口開けて笑うハイジ。
その瞬間、ケイジくんの瞳がギラリと光ったのを、私は見逃さなかった。
無言でしゃがみ込むと、地面から何かを拾って集めていく。
ちょっぴり大きめの石をどかすと、その下からも何かを指でつまみ上げ、手のひらに乗せた。
すっくと立ち上がり、ハイジへ向き直る。
「ダンゴムシバクダーン!!」
手のひらいっぱいのダンゴムシを、指でぴんぴん弾いてハイジにぶつけていた。