気まぐれヒーロー2

“仲間”




「てめえらの化けの皮、剥がしてやるよ」



両手をポケットに突っ込み、余裕たっぷりに本城咲妃らを見下ろすハイジの姿は、圧倒されるほどに堂々としていた。

どんなに激しい嵐に晒されても、揺るがない屈強な岩のような佇まいで。

絶対に、退かない。一歩たりとも。


けれど……私には、ハイジのその言葉がどうにも引っかかって仕方なかった。



“化けの皮剥がしてやる”



ハイジは、何かを知ってる?

私と本城咲妃、田川との間にある亀裂を?


そんなはず、ない。ハイジは何も知らないはず。

だって昨日、私にアザの理由を聞き出そうとしていたくらいだもん。



「ももがてめえに気があったことを利用して、ありもしねえウソを言いふらして回りゃあ、センコーも他のヤツらも、お行儀のイイてめえを信じるってわけだ。んで、コイツに罪をなすりつけた。誰もてめえを疑わねえ。悪いのは全部、ももだ。よくできたシナリオじゃねーか……なあ、優等生くん」



その瞬間、確信した。


嘲笑を交えながら田川に突きつけたその言葉を聞いて、私は悟った。


ハイジは知ってるんだ。

私と田川達の間で起きたことを。


でも──いつ、どうやって……?



「てめえは優等生くんの女ってだけで、悲劇のヒロインだ。“花鳥ももがまだ自分の彼氏に未練がある、彼氏を盗ろうとしている”、そう演じりゃ周りの人間の同情もひけるしな。いやー、スバラシイね。てめえには主演悪女賞を贈呈してやるよ、キツネ女」



ハイジは標的を田川から本城咲妃へと移し、恨みを宿した彼女の視線を真正面から受け止めながら、鼻で笑った。

さらには、乾いた音を立てて手を打ち、皮肉な拍手までも添えて。


わからない。
何を考えればいいのか、何から整理すればいいのか、全然わからなかった。

ハイジがどうして事情を把握しているのかも、なぜ私の代わりにここに立ってくれているのかも。

けど少なからず、ハイジの言葉で生徒たちが動揺し始めているのは事実。
戸惑いが、あちこちの顔に浮かんでいた。



「驚いたな……君の想像力に。今の、全部君が作った話だろ?発言は自由だけどさ、真実をねじ曲げてるのも、罪をなすりつけてるのも──そっちの方だと思うけど」



あくまで平静を装い、冷静に。

優等生の仮面を崩さない田川大輔は、困ったように笑ってそう返した。



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