気まぐれヒーロー2
ハイジがはっきり言い切った瞬間──
「ふぁ~」とアクビしながら、ボリボリとおケツを掻いていたタイガーマスクの手が、ピタリと止まった。
今……ハイジ、なんて言った?
負けたら……トゥゲザー……?
いや、土下座……!?
「待ってよ、なに言い出す──」
「ストオオオオッピング!!」
おおっ、な、何だ!?ビックリすんじゃん!!
私がハイジに“待った”をかけるより先に、間に割り込んできた大声。
「ハイジくーん、その土下座ってボクはカンケーないよねー?」
ニッコリと寒気がする笑みを張りつけ、タイガーマスクはハイジの顔を覗き込んだ。
なんてヤツだ。
どうやら自分だけは免れようという魂胆らしい。
「クロちゃん、ここまできたら覚悟決めーや。うんめーきょーどーたいやろ?」
爽やかに笑って、タイガーマスクに言い聞かせるのは、ケイジくんだった。
タイガーマスクは知らなかったみたいなのに、ケイジくんは最初から知ってたのかもしれない。
こうなること。
ハイジがとんでもないオマケ付けちゃうこと。
「ジロー、オメーも黙ってねーで何とか言えよ!」
途端にご機嫌ナナメになった虎頭は、矛先をウルトラマンジローに向けた。
「ナントカ」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
ジローさんは私の髪をくるくる指に巻きつけながら、ぼそっと言った。
話にならなかった。
「フザけんじゃねーぞ、なんだってこの俺が一年坊にアタマ下げにゃならんのだ!回りくどいことしてねーでよ、ぶっ飛ばしゃあいーんだ」
とうとうタイガーマスクは、本性を現したのか、ぷっつんしたのか。
悪そうな笑みを浮かべて、とんでもなく邪悪なオーラを放ち前に進みだした。
どうやら田川達を、力ずくでどうにかしちゃう気満々らしい。
ついにヒーローではなくヒールに成り果てたタイガーマスクを、緑と赤の双子と、バルタン飛野さんが慌てて止めに入っていた。
「落ち着けよクロちゃん、まだ負けるって決まってねーだろ!!」
「そうやで、勝てばいい話やん!」
「ったく、言ったそばからお前は……。成長しろよ、ちょっとは」
男三人がかりで押さえ込まれたタイガーマスクは身動き取れず、ますます凶悪なオーラを増大させている。
昨日の本気モードのタイガは何だったんだと思うくらいに、今のタイガーマスクは落ちぶれていた。