Semisweet.
 私が少し遅めに家に着くと匠は既に家に帰ってきていた。


「ただいま~。」

「おかえり、飯出来てるけど、先飯食う?それとも風呂入ってくる?」


 この男性が憧れるシチュエーションを地味に男性が無意識でやっている状況が面白くて笑ってしまいそうになる。

 ご飯まで作ってお風呂まで用意してくれたのかなと思うとどこまでも愛おしい。


「…私、結婚するのが匠で良かったな!」

「は?何急に。酔っ払いですか~?菜穂ちゃんは。」

「シラフ!これから酔うつもり。明日お休みですから~!」

「あっそ、とりあえず先飯食っちゃって、一緒に風呂入る?」


 一緒にお風呂、の響きだけはいまだに慣れない。

 顔に熱が上がっていくのを感じて匠を見ると揶揄う様な笑顔を見せて額に口付けを落とす。


「…俺も諦めなくて良かったよ。ずっと、俺には菜穂だけ。菜穂だけが特別で、ずっとずっと好きな子。」


 不意に落とされた愛の言葉に胸が苦しくなる。

 こんなに愛されたの、最後いつだったのか。そもそもこんなに愛された記憶すらない。

 瑞野からしたらずっと苦くとてもずっとは耐えられない恋だったはずなのに、ずっと好きで居てくれた事、こんな幸せな事ない。


「…先抱きたくなったから、抱いていい?」

「ねぇ、ムードぶち壊し!」

「そんなもん俺達にはいらないって~。」


 本当にバカな男だけど、こんな男が

 最高の友人で同期で…、

 最高の夫だ。





End.
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