Semisweet.
 私が少し遅めに家に着くと匠は既に家に帰ってきていた。


「ただいま~。」

「おかえり、飯出来てるけど、先飯食う?それとも風呂入ってくる?」


 この男性が憧れるシチュエーションを地味に男性が無意識でやっている状況が面白くて笑ってしまいそうになる。

 ご飯まで作ってお風呂まで用意してくれたのかなと思うとどこまでも愛おしい。


「…私、結婚するのが匠で良かったな!」

「は?何急に。酔っ払いですか~?菜穂ちゃんは。」

「シラフ!これから酔うつもり。明日お休みですから~!」

「あっそ、とりあえず先飯食っちゃって、一緒に風呂入る?」


 一緒にお風呂、の響きだけはいまだに慣れない。

 顔に熱が上がっていくのを感じて匠を見ると揶揄う様な笑顔を見せて額に口付けを落とす。


「…俺も諦めなくて良かったよ。ずっと、俺には菜穂だけ。菜穂だけが特別で、ずっとずっと好きな子。」


 不意に落とされた愛の言葉に胸が苦しくなる。

 こんなに愛されたの、最後いつだったのか。そもそもこんなに愛された記憶すらない。

 瑞野からしたらずっと苦くとてもずっとは耐えられない恋だったはずなのに、ずっと好きで居てくれた事、こんな幸せな事ない。


「…先抱きたくなったから、抱いていい?」

「ねぇ、ムードぶち壊し!」

「そんなもん俺達にはいらないって~。」


 本当にバカな男だけど、こんな男が

 最高の友人で同期で…、

 最高の夫だ。





End.
< 76 / 76 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:98

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

Excessive love.

総文字数/96,692

恋愛(オフィスラブ)142ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大手企業の営業部に勤める新田 実季(28)は、同じ会社の経理部に勤める同僚の加藤 隆太と同棲していた。交際期間も長くそろそろ結婚かと考え始めていた頃、恋人の浮気が発覚した。 家も出なければいけなくなって、同じ会社で顔も合わせなければいけない、そんな私に手を差し伸べてくれたのは、同じ営業部の上司だった。 強がりで自立心が強い女性部下×甘え上手な反面、包容力もある男性上司 関連作 →『Secret love.』
Ironic Honey

総文字数/73,473

恋愛(純愛)132ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 一般企業の営業として、恋を諦め、ただ仕事だけに生きてきた天野 聖菜(30)。  ある夜、彼女はいつもの行きつけのバーで、端正な顔立ちをした一人の男、長谷川 千織(32)に目を奪われる。  その完璧な容姿ゆえに、店内で他の女性からしつこくナンパされていた彼は、近くにいた聖菜を咄嗟に引き寄せ、「すみません、恋人がいますので」と言い放つ。  その場しのぎの偽りの恋人という嘘に巻き込まれたことをきっかけに、二人は言葉を交わし始め、思いがけず会話は弾み、夜が深まるにつれてお互いに心地よく酔いが回っていった。  そしてアルコールに呑まれるまま、軽い気持ちで重ねてしまった、一夜の過ち。  翌朝。二人の記憶は曖昧で、千織は「責任は取る。何かあった時はここに連絡して」と名刺を渡し、ホテルを去っていった。  この一夜から始まる、予想外の繋がりと溺愛。
Hidden love.

総文字数/54,670

恋愛(オフィスラブ)94ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 中小企業で働く椿 清花(30)は、4年交際し婚約もしていた年下の恋人、澤山 航平(28)から、記念日の当日に「好きな人ができた」と突然の別れを告げられる。 ​ 絶望の翌日、社内で発表されたのは航平と常務の娘、檜山 莉子(24)の婚約。清花は彼が二股をかけていた事実を知るが、航平は反省するどころか開き直る始末。一時は復讐を誓うものの、無関係の檜山を巻き込むことに躊躇し、清花は泣き寝入りするしかないのかと涙を飲んだ。  ​そんな最悪な週末、清花は高校時代の元恋人・朝倉 大樹(30)と居酒屋で偶然の再会を果たし、傷ついた清花に、大樹は昔と変わらない優しさで寄り添う。 ​───​最悪の失恋から始まる、かつての恋人との、ゆっくりとろけるような溺愛ロマンス。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop