双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
ベッドの上で死なない程度に、声を出せないよう姉の胸を圧迫する。

「レンラタイナーセンテラテンド、ライラッテクイナー……」
 私の唱える言葉の意味が理解できているのか、姉が必死にもがき出した。
 
 古い魔術書にあった時を戻す呪文。

 私は1度読んだものを覚えるのが得意だ。
 その能力をセルシオに褒められたのが嬉しくて、手に入る書物を全て読み尽くした。
 この魔術が本当に発動するかなんて分からない。

 しかし、その本にはこの世界は聖女が時を戻して成り立っている有限な世界だとあった。

 生贄に魔力を持って生まれた高貴な人間と、神聖力を持つ聖女が必要だ。

 私には、私に卑劣な真似をしようとたルイス皇子が高貴な人間とは思えない。
(帝国の皇子ということで要件が満たせるといいけど⋯⋯)
 
 セルシオが取り戻せる可能性が少しでもあるのなら、私は何だってできる。
 私は彼を取り戻す為に一か八かの賭けに出た。
 
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