危険な隣人たち

第五章 決断と裏切り

ゆいは、道隆の言葉に胸が締めつけられるような思いを感じていた。
「君の周りにいる者たちは、君を守るためには何でもする」。

その言葉が、ゆいの心の中で何度も響き渡る。
守られている、という感覚はあった。
だが、それがどこか重荷に感じる瞬間もあった。
「私は、誰かに守られなきゃいけないの？」
心の中で、そう自問自答する自分がいた。

ゆいは歩きながら、自分の気持ちがどうしても整理できないことに気づく。
竜也と飛鳥、二人に対する気持ちは、日に日に強くなっているのに、その感情が愛情なのか友情なのかがわからなかった。

その答えを見つけるために、ゆいは一度、誰にも頼らずに自分で考えようと決めた。

だが、帰り道、突然の知らせが彼女を驚かせた。

「ゆい、お前に話がある」

その声に振り返ると、竜也が立っていた。
いつもの鋭い眼差しは、どこか深刻さを帯びている。

「今日はどうしても、お前に話さなきゃいけない」

その言葉の重さに、ゆいは胸が高鳴る。
竜也の目は真剣そのもので、彼女を無視できないほど強く引き寄せていた。

「何かあったの？」
ゆいは少し戸惑いながらも聞く。

竜也は少し黙ってから、ゆいに向き直った。
「俺は、もうお前を一人にはしない。何があっても、お前を守る」

その言葉に、ゆいは息を呑んだ。

「竜也、でも……」
ゆいは言葉を続けようとしたが、その前に竜也が静かに告げる。

「俺はお前のために、何でもする。それだけは信じてくれ」

ゆいはその言葉に反応できなかった。
自分の中で、何かが崩れた気がした。

それと同時に、飛鳥のことが思い浮かぶ。
彼もまた、ゆいに似たような言葉を投げかけてきたことがある。
だが、飛鳥の言葉には、どこか儚さが漂っていた。
竜也の言葉は、強さに満ちていた。

「竜也、私は……」
ゆいは言葉を詰まらせる。
そしてその瞬間、竜也が手を伸ばして、ゆいの手を取る。

「お前が決めることだろうけど、俺はお前の側にいる」
その言葉が、ゆいの胸に深く響いた