危険な隣人たち

第九章 戦いの幕開け

ゆいは覚悟を決めた。
背中を強く伸ばして、深呼吸を一つ。
何もかもが壊れるその瞬間を、私は受け入れる覚悟を決めた。

道隆がその場に現れるまで、ゆいはその空間に立ち尽くしていた。
彼の登場で、また全てが動き出す気配を感じていた。

「ゆい、お前の決断は決まったか?」

道隆の声は、どこか冷静で、でも確信に満ちていた。
彼の言葉を聞いた瞬間、ゆいは答えることができた。
「私は、二人の間で迷っている。どちらかを選べば、必ず誰かが傷つく。それが怖いんです、道隆さん。」

道隆は静かにうなずくと、ゆいの目をじっと見つめた。
その目に、ほんの少しだけ温かさを感じた。
「お前は、選ばなければならない。二人にとって、それが最も辛い決断だということは、よくわかっているだろう。」
その言葉に、ゆいは小さく頷いた。

「私が選ばなければ、他の誰かが選ぶことになる。それが最終的に全てを決める。」
道隆はその一言で、ゆいの心に重くのしかかる何かを感じさせた。

「でも、道隆さん……」
「もう後戻りはできない」
道隆の目が一瞬、鋭くなる。

その言葉に、ゆいの胸は痛んだ。
でも、何かが見えた気がした。
道隆は、彼女が選ばない限り、二人の間に立ち続ける存在であり、そして、ゆいの運命を決める存在でもあった。
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