執拗に愛されて、愛して
「あんただって、私に捨てられたくなくて必死な癖に。」

「全然。だって自信あったし。再会した時に少しずつ付き合ってた時の事、思い出させたら夏帆は帰ってくるって。」


 そう言って私の唇を親指で触れ、ゆっくりとなぞる。

 あの再会は雅にとっても私にとっても想像も出来なかった出来事のはずなのに、それまでもが仕組まれた事だったのではないかと感じる。

 会えたあの瞬間も、一目惚れをしてしまったあの日みたいに目を奪われたのは事実だった。だけど、他人とキスをしたり、最低な発言をする雅に別れて正解だったって思っていたはずだし、恋愛より仕事とも本気で思っていた。

 本人には認めたくない、雅のその言葉。


「…一生、会えなかったかもしれないでしょ。」

「でも再会出来たんだから、俺等は一緒に居るべきって神様からのお告げかもよ。」

「そんなの信じる人じゃないでしょうに。」

「それはそう。けど、再会してこうなったからには絶対離してやんない。だから、さっさと諦めて認めろよ。俺の事好きだって。」


 相変わらず凄い自信で話す雅に少し笑って触れてきていた手を払う。手を叩いた瞬間に、雅が少し驚いた表情をしているのは気分が良かった。

 まだこの男の手になんて渡ってやらない。簡単に全ての女性が手に入ると思われるのも腹が立つし、思い通りになんてさせたくない。
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