執拗に愛されて、愛して
「ごめんね。あんなところ見せて。」

「うーん、気にしてないとはもちろん言えないけど、でも朝比奈のせいじゃない事も分かってる。ていうか、彼氏さん独占欲強いでしょ。」

「え?」

「キスしてる時、こっちに牽制する様な目線送ってたから。」


 そんなの気付いてない。抵抗するのに必死で雅がどこを見ていたかなんて気にする余裕なかった。

 佐久間くんから雅の事を聞かされて顔が熱くなる。職場の人に何してくれてるんだって思いと、そんな独占欲を他の人にまで見せつけていると思っていなかったから。

 学生の時にも見覚えがあった。私が少し男子と話しているのを見ただけで、近くに寄ってきて、肩を抱いてきたりそんな事をする。あの人は自分の物や彼女にちょっかい出されるのが嫌いなだけで、微笑ましい独占欲ではないけれど。


「ごめん、仕事に切り替えよ。これから大事な打ち合わせなのに、その前にする話じゃなかった。」

「…ありがとう、佐久間くん。」

「…全然。」


 そんな話をしながらも、車は着々と取引先に近付いていた。
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