執拗に愛されて、愛して
「…今年は2人で過ごす?」


 そう提案すると作業をしていた手を止めて、雅はこちらに向く。


「いや、いいわ。夏帆の親に実家にも帰らせないで縛ってるとか思われたくないし、心配すんだから帰れよ。」

「いい年こいた大人がそれも変でしょ。それとも1人がいい?」

「そうじゃねぇけど。本当に気にしてないし、心配しなくても利口にしてるから、安心して行ってこいよ。俺から離れたくないなら止めねぇけど。」

「何で私が?あんたでしょ。強がりね。」

「黙れよ。」


 笑いながらそんな会話をすると、軽く私の頭をくしゃくしゃとして撫でて離れていく。

 過ごす人がいなくなる雅を同情したわけじゃないけど、さみしい思いはしてほしくないと思った。だけど、雅は雅で私の家庭環境を理解してくれていて、自分よりも家族を優先しろと言ってくれた。

 本当は一緒に過ごしたかったのは雅なんじゃなくて、本当に私の方だったのかもしれない。
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