執拗に愛されて、愛して
『そうなの、また遊びに来なさいよ。今度は泊まりで。』

「あはは、うん。考えとく。」


 こうなってもあまり雅と実家に泊まりに行くのは乗り気にはなれない。

 ほんの少し母と会話をして、電話を切ると先程の会話で大事なことを思い出した。もうすぐ年末年始が来るから、その時になると私は実家に一度帰省するのだ。

 その時雅はどう過ごすのだろう。大学時代から実家に帰るとかそういう話を聞いたことがなくて…、というのも雅の家庭は少し複雑なのだ。

 年末年始はバーは休みなのかどうなのかも知らないし、どう過ごすつもりなのだろうか。


「雅、年末年始どうするの?」

「適当に過ごすよ、実家なんてほとんど帰ってないし。」


 大学時代からそこは変わっていないらしい。

 雅の家族は、母しかいない。というのも中学に上がる時に両親が離婚したそうで、それからずっと母子家庭だったそう。

 離婚してから雅の母は家に帰らなくなって、中学生になってからはほとんど話さなくもなって、雅は家にも帰らなくなったそうだ。雅は特に仲が悪いとか恨んでいるとかないと大学時代に話していたけど、特に近寄る理由もないと帰省をしなかった。

 本人が湿っぽい話を嫌いだから、最初は本当はさみしいのを強がっているのかと思ったこともあったけど、本気で興味がないらしい。
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