執拗に愛されて、愛して
「何かあったろ。」


 態度に出したつもりは無いのにそう問い掛け、私の隣に寝転がってくる。気付かれるとは思っていなくて、少し動揺した。


「な、何で?」

「夏帆が悩んでる時わかりやすいんだよ。話してみ。」


 話してみ。の言い方が凄く優しくて、思わずときめいた。

 普段自分さえ良ければいいって態度なのに、私の様子に敏感で、すぐに気付いてくれる。大学時代からこういう所変わっていない。だからいつも嫌いになりきれなくて、時々甘えたくなる。

 1人で決断しようと思っていたけど、話したら一緒に悩んでくれたりするのだろうか。もし私が仕事も雅の事もどっちも取りたいと言ったら、遠距離恋愛を一緒に頑張って乗り越えてくれるのだろうか。

 期待して転勤の事を話してみることにした。


「…遠方の支社に転勤になりそうなの、1年か2年。」


 私の言葉に雅の表情が明らかに変わった。少し驚いた表情をした後、またいつもの何を考えているか分からない表情になって、私から手を離す。「…そっか」とそれだけ呟くと雅は、緩く笑みを零した。


「行くんだろ?仕事、頑張ってたもんな。」


 そう決めつけた発言をしてきて、少し驚いた。

 雅の言葉で急いで体を起こし首を横に振る。私達の関係を諦めたかのような顔をして、私が当たり前に仕事を取ると思っている様な言動をしていた。
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