執拗に愛されて、愛して
 私が交際する時、恋人よりも仕事だとずっと言ってきていたから仕方ないのは分かっている。だけど、今は仕事と天秤に掛けても雅の方が大事に思えているのに、そんな諦めた表情してほしくない。


「違う、雅にそんな事言ってほしくて話したんじゃない。」

「大学の時、遠距離は無理って言ってたもんな。どうする?別れる?」


 何の迷いも無く別れる?という雅に酷く傷付いた。雅は私が別れるって言ったら簡単に別れるつもりなのか。そもそもあの時とは違って、雅も遠距離は乗り越えられないと思っていて、もう向き合うつもりが無いなら、私の気持ちを押し付けるのも出来ないのかも。

 だけど今度は、仕事を諦めてでも別れたくない。


「…別れない。別れるくらいなら転勤なんてしない。」

「あんだけ仕事が好きで、恋人よりも仕事優先したいって言ってたのに?」

「言ってることが全然違うのは自覚してる。でも…、嫌なの。別れたくない。」


 雅に縋る様に腕を掴むと、自然と涙が溢れ出てきていた。その顔を見られたくは無くて、顔を下に向けて雅から隠す。

 こんな風に仕事より大事な人が出来て、別れたくないって縋る日が来るなんて思っていなかった。今別れたら本当にもう2度と会えないと思ったら、絶対に手放したくない。
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