執拗に愛されて、愛して
 中々の痛みに両手で額を抑えていると、雅は呆れた表情をしていた。


「本気で心配してやってんのにお前ね…。男予防に俺のパンツでも持ってって外に干しとけば?」

「バカじゃないの?」


 そんな風に話すと背後に回ってきて、急に抱きしめられて少し吃驚する。担当さんがいつ帰ってくるかも分からないのに、相変わらずこの男は人目を気にせず触れてくる。

 さっきまでふざけていた雰囲気が一気に変わった。


「今度からここでいつもの休日みたいに雑誌読んだり、おしゃれしてたり、俺と電話してたりそんな日常過ごす様になるんだな。」

「…そうね。」

「寂しい?」

「…全然。」


 全然なんて強がってみたけど、寂しいに決まっている。そして、素直に言葉を選べない事くらいこの男も分かっていて、私の返事を聞くなり笑っていた。「可愛いな」なんて耳元で言葉を囁いて、甘すぎて顔が熱くなる。私も雅くらい素直に言葉を選べる人になれたらよかったけど、この面倒な性格はもう直らない。

 それに私が1人でこっちの生活に慣れていくように、雅だって私が居ない生活が当たり前になって、寂しいなんて感情薄れて行くのだと思う。そう考えたら、寂しくない訳が無い。
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