執拗に愛されて、愛して
「歳取って大人になって綺麗になったとか勝手に思ってたけど、お前は変わんねぇな。」

「なにそれ、子供っぽいって言いたいの?」

「初々しくてずっと可愛いって言いたいんだよ。」


 ほらこういう所。綺麗とか可愛いとか簡単に言ってくる。悪く考えたら、遊び人のリップサービスで私は騙されているだけなのかもしれないけれど、騙されていたとしてもこれで気は悪くならない。むしろ女性はこういう言葉嬉しいでしょ?

 嬉しいけれどこの男の言葉で喜ぶとすぐに調子に乗るから、態度に出さない様に必死に緩みそうな表情を締める。


「何その顔。」

「今話しかけないで、顔と気持ちのメンテナンス中。」

「メンテナンス中?」


 私のメンテナンス中という言葉を繰り返して、雅は笑っている。でも考えたら、私はきっと他の男性から可愛いや綺麗と言われてもここまで照れないと思う。好きなこの男から出る言葉だから、照れてしまう程うれしくなったりする。

 当然誉め言葉は誰から貰っても嬉しいけれど、ここまで照れるなんてない。全て好きだからなんだな、と気持ちに答えが出てしまってこの事すらも照れ臭かった。


「一生そのままでいいよ。照れる夏帆の顔見てたいから。」


 そう言って私の頬に軽くキスをする。いつまで経ってもこの男の言動や行動には慣れそうにもない。
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