執拗に愛されて、愛して
「あんたが優しいと調子狂う。」

「普段無理させてるから?」


 そんな事を耳元で囁いてくる雅を、軽く叩くと笑っている。TPOを考えた発言が出来ないのかこの男は、と睨みつけると、雅は微笑んでいて私の方を見ていた。


「あー本当、行かせたくねぇな。」


 笑いながら言うから本気なのか冗談なのかわかんない。さっきまで平気みたいな顔をして言っていたくせに、このタイミングで行かせたくないなんてずるい。

 何か言い返そうとしたタイミングで、時間になって新幹線は駅に停車した。もう長く言葉を交わしている時間はない。

 どうにか私の気持ちも雅に伝えたくて、思い切り胸ぐらを掴んで引き寄せるとそのままぶつける様なキスを交わす。その瞬間雅の顔がすごく驚いていて、珍しく固まっていた。
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