執拗に愛されて、愛して
 初めて入った印象は雰囲気がかなり良くて、酔っ払って叫ぶ様にカラオケで歌う客も大声で話す客も居ない。静かで話すには程良くて、デートなどにも使えそうな程に雰囲気が良い。あまり若者が集う賑やかな雰囲気のバーが好きじゃないため、静かな雰囲気の方が好みな私はそれだけですぐにこのバーを気に入った。


「いらっしゃいませ。」


 そう声をかけてくれたのは顔の綺麗なバーテンダーだった。全身黒のスタイルの制服は引き締まって見えるし、明るめの髪色が似合ってて、それでいて清潔感もあって100点満点の見た目をしていた。


(というか、その服装の男さっき見たけど…。)


 またここでも違和感だったが、気にしないようにしてひとまずカウンターの一番端の席に座った。辺りを見渡してみると金曜日だというのに、客はそんなに多くはない。1人客もいれば2人で飲んでいる客もいる。


「何飲まれます?」


 メニューを渡され何を頼もうか悩んだけれど、結局いつも通り1杯目はジントニックにしてしまう。

 ネットの記事でジントニックが美味しいバーはどんなお酒も作るのがうまいと見たのを鵜呑みにしてからずっと、初めてのバーではほとんど1杯目はジントニックにしている。もちろん気分で違う日もあるかもしれないけれど。


「ジントニックで。」


 そう注文をすると「かしこまりました」と微笑んでくれ、手際よく作り始めてくれる。スマートで格好良い。そしてイケメンの微笑みは心臓に悪い。思わず見惚れていると目が合って、再度微笑むなり話し掛けてくる。


「それはそうと、ご来店は初めてですよね。」

「あ、はい。ふらっと入ってみたくなって。」

「お選び頂けて光栄です。こちらバーの名刺なのですが、お渡ししておきますね。」


 柔らかく笑い、私の前へと名刺を差し出してくる。名刺のデザインもシックで格好良い。

 名詞だけではなくバーテンダーも最高に格好良い。この顔見てるだけで癒されそう。私は極度の面食いで顔面優良男子に目が無い。

 かと言ってホストとかには別に興味が無かったのが、唯一救える所な気がする。
< 2 / 331 >

この作品をシェア

pagetop