執拗に愛されて、愛して
 名刺を眺めながら待っていると、目の前にジントニックが出される。手際が良く出てくるのが凄く速い。


「いただきます。」


 そのままグラスを掴んで口まで持っていくと、喉奥にグラスの3分の1程を流し込み、今まで飲んだジントニックの中で一番美味しかった。バーテンダーの顔が良く、お酒も美味しくて、雰囲気も良い。ここを好きにならない理由が無い。


「すごく美味しいです。」

「ありがとうございます。」


 感想を伝えるのは下手なため美味しいと伝えると、上品な笑みを向けられた。一体その笑顔でどれほどの女性を落としてきたのか。

 こう話しているとバーテンダーの人柄も落ち着いた雰囲気なのに、顔は随分若く見え、ふと年齢の事が気になった。20代後半…、いや、もしかしたら24とかかも、なんて想像をして「おいくつなんですか?」と問い掛ける。普段人の年齢を聞くなんて失礼な事をしないが、この興味には勝てそうになかった。


「28です。」

「ええ!もう少しお若いかと思ってました!」

「よく言われます。」


 そう苦笑いをしているのを見て、若く見すぎてしまったのも失礼かと、少し反省した。幼い顔立ちという訳では決してないけど、肌も綺麗でなんとなく若く感じてしまう。でも、どこからか溢れる大人の余裕みたいな雰囲気を考えると、確かに28と聞いても全く変ではない。
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