執拗に愛されて、愛して
 そろそろこの手の話から早くどうにかしたいけれど、今ここで適当に恋人がいるなんて言えば、次は決まって会わせろと言われるに決まっている。そして当然、両親に紹介を出来る男性なんていない。


「…本当に今は忙しいからもう少しだけ待って。また顔出しに帰るから、ね?」

『あんたはまたそう言って…。本当に、ちゃんと考えなさいね。』

「うん。」


 そんな話をして電話を切り、深く溜息を吐いた。どうして休みの日にこんなにもストレスを溜めなければいけないのか。

 もちろん母が私の事を考えてこの言動をしてくれているのも分かっている。ただ、私の人生で、私が納得いかないものに時間を使いたくない。


 時計を見ると午前11時。ストレス発散をしたいけれど、1人で今から出掛けるのもつまらない。そう考えた時になんとなくすぐに、雅の事が思い浮かんだ。

 雅なら気を遣わなくて良いし、買い物に行って荷物持ちをさせるのもいい。なんて考えながら、メッセージアプリで雅のトーク欄を開いて、そのまま通話ボタンをタップした。中々電話には出ないから、もしかしたら寝ているのかもしれないけれど、気にせず掛け続ける。

 1度目は電話に出なかったが、そこから2度3度と掛けている内に、ようやくコール音が止んで『…はい』と、出るなり思い切り掠れた寝起きの声が聞こえた。

 今日の夜中まで仕事して帰ってきて寝ていたのだろうと、容易に想像はついたけれど、悪いなんて思っていないしそのまま易々と寝かせてあげる気も無かった。


「おはよう、暇でしょ?」

『一言目から失礼な女だな、暇じゃねぇよ。今日も仕事。』


 まだ眠たそうで不機嫌そうな声に少し笑ってしまう。そう答えてから何度か咳払いして、声を出す準備を整えて『で、何の用?』と話を続けた。
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