執拗に愛されて、愛して
「風邪、残り2日くらいしか一緒に居れないけど引かれたら困るもの。」

「子供かよ、俺は。」

「寒さに弱いんだから強がらず巻いてなさい。」


 そう言ってグレーのマフラーを再度ギュッと締め上げると雅は一瞬だけ苦しそうな表情をして、私も笑って手を離す。予想通りこの色もデザインも似合っていて、満足していた。


「イケメン着飾るの楽しい…。」

「本当ブレないね、お前。もらうけど。」


 今まで大事なイベントを一緒に過ごせなかったのだから、送れたとしても再会してからの大事なイベントはどれも逃したくない。

 今まで大人になってから作れていなかった思い出を取り戻すために。


「私がサプライズしてるつもりだったのにな。」

「そもそも自分の誕生日忘れてるって想像してなかったわ。忘れるとか、本当老けたな。」

「日々充実してるって言いなさい。」

「大学時代なんか充実してても、一緒に過ごしてくれるよね!って言っていてたくせに。俺が何か言う前から夏帆が催促してた。」

「歳取るって本当残酷よね。サプライズは最高に嬉しいけど歳取りたくない。」

「27歳だろまだ。」

「あんたも今年30なのね…。その顔で?」

「憐れんでんじゃねぇよ。」


 雅とそんな話をしながら笑って、2人でさっさと家に帰る。歳を取った雅と一緒に居るのもきっと悪くはない。
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