執拗に愛されて、愛して
 行為が終わって服を着ながら、部屋で煙草を吸っている男に気になっている事を問い掛ける。


「独占欲とか言うけど、指輪もネックレスもピアスも付けなかったらどうすんのよ。」

「…何か確信してた。俺のこの重くてダルい独占欲もなんだかんだ受け止めてくれるんだろうなって。」


 そう言って笑うと私の顔の横にかかっている髪を耳に掛ける。そうしている時の表情が凄く優しくて、私が好きなのはこの顔だと確信する。

 私の事を考えて愛おしくてたまらないみたいな表情をしているこの男が、私も愛してやまないのだ。


「…本当、ムカつく。」

「それ彼氏に放つ言葉であってんの?」

「あってるわよ。普段余計な事ばっかり言うくせに、こんな時は私をときめかせてきて、情緒忙しいの!」

「俺は、俺に振り回されてる夏帆を見るのが好きだから本望だわ。」

「もう本当、バカ。」


 本当になんてとんでもない男を好きになってしまったなと思っているのに、好きなのは今更止められない。どうせならこのまま落ちてしまう所まで落ちるのも良いのかもと思う。

 お互い好きだと言う言葉だけは素直に紡げないから、顔を寄せ合ってキスで代わりに伝えあう。この男の前に出てしまう不器用な自分は決して好きではない。自分のは直したいと思うけれど、雅の不器用さだけは愛おしく感じるから直してほしくない。
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