執拗に愛されて、愛して
 仕事に復帰すると周りに歓迎され、すぐに昇進の話も進んだ。帰ってきて支社の仕事のやり方に慣れていたから、戻すのにまた少し苦労したけれど、そこまで時間は掛からなかった。

 支社の和気藹々とした感じとは違って、本社は周りと協力よりも個人で仕事をしているという印象が強い。その空気感に久しぶりに触れて気が引き締まった。


「よ、朝比奈。」


 オフィスで仕事をしていると、突然上から声をかけられて視線をやると、佐久間くんがいた。転勤してから一度も会っていなかったから凄く久しぶりで、懐かしい感じがした。


「久しぶり、営業部のエース様。」

「その呼び方やめろよ。久しぶり、元気だった?」

「うん。同期が何人か辞めたってまた聞いてたから、佐久間くんだけでも残っていてくれてよかった。」


 元々そんなに同期は残っていなかったけれど、同期の中で女性の正社員が多かったのもあって、この1年程で寿退社や産休に入ってしまった社員もいた様だった。

 たった1年と言えど離れてしまうと状況は一気に変わってしまう事を実感した。


「昇進おめでとう。どうだった?支社は。」

「とにかく人に恵まれた。親切にしてくれた人も居たから困らなかったし。」

「そっか。良い所に当たってよかったな。」


 佐久間くんの言葉に深く頷く。
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