執拗に愛されて、愛して
 そして結婚してからも毎週金曜日はバーに決まって顔を出している。


「夏帆ちゃん!いらっしゃい!」

「玲くん!お疲れ様!雅は?」


 カウンター席のいつもの席に座りながら店内を見回しても居ないから、そう問い掛けると玲くんは「見送りに行ったよ。会わなかった?」と言っていて、首を横に振る。


「また路地裏とかで女の人とキスしてたりして。」

「懐かしいね、それ。」


 再会した時の懐かしい話を出すと玲くんは笑っていた。

 忘れもしない。ふらっと入ったバーの横の路地裏で客とキスしていた雅の事を。違和感を感じても知り合いなんかじゃないと思っていたら、知り合いどころか元カレで、そんなありえない再会を果たしたと思ったら、今度は縒りを戻して、同棲して結婚しているなんて…、人生何が起こるか分からない。


「本当、夏帆ちゃんよく雅と結婚したよね。」

「ね、私もそう思う。雅があまりにもしつこいから、困ってたのに。流されるがまま付き合って、遂に結婚までしちゃった。」

「今だから言うけど、俺は夏帆ちゃんの事知ってたよ。」

「…え?」


 玲くんの言葉を受け止めきれず思わず聞き返してしまう。玲くんはきっと間抜けな顔をしているであろう私の顔を見て笑っている。
< 234 / 331 >

この作品をシェア

pagetop