執拗に愛されて、愛して
「これからもきっとあんな風に言い寄られる雅の姿は見るんでしょうけど、別れるとは考えられないのよね。本当に嫌なのにね。結婚して私のになったのに、人に手を出される雅を見ているのは。」

「…夏帆ちゃん素直になったよね本当。」

「素直?最初から素直じゃない?」

「雅の事になると、めちゃくちゃ頑固だったから。夏帆ちゃん。」


 そう言われると何も言い返せない。確かに好きになるはずが無いと思っていたし、きっと既に好きになっていた状況でも好きじゃないと言い張っていた。

 後は、あんなに女遊びが激しい男が私なんかに一途になるのも信じられなかったし、そう思えばお互いに色々変わった所があったのかもしれない。


「雅も夏帆ちゃんも幸せそうで、本当に安心した。」


 玲くんが優しく微笑んでそう言うと、雅が玲くんの方を見ていて手でチェンジと合図を送っている。玲くんは頷くと「行ってくるね。流石に向こうが気あるって分かってる女性の相手させるの可哀想だから」と笑って、雅の方に向かった。

 そのタイミングで雅はこちらに帰ってきて「表情筋疲れた」と溜息を吐いている。先程まであんなに完璧に笑顔を作っていたのは無理をしていたらしい。私の前でもプロ意識を見せてほしいくらいだけれど。
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