執拗に愛されて、愛して
「おはよ。」


 朝から素晴らしい顔面で微笑んで、優しい声で挨拶してくるものだから目の前がチカチカした。自分の顔が素晴らしいと自覚はあるくせして、凶器の自覚は無いのだから無自覚で殴りかかってくる恐ろしい男だ。

 色々言いたい気持ちをグッと堪えて「おはよ」と返すと、そっと私の肩を抱き寄せて頬に優しく口付けをしてくる。その甘い顔に甘い行動いい加減にしてと、怒りたくもなる。


「今日、出かける予定あんの。」

「あんたが行くまでゆっくりしてる。夜はバーに顔だそうかな。明日休みだし。」

「最近よく来んな。噂になってるよ、俺の奥さんが毎週金曜と土曜来るって。」

「牽制と監視してるのよ。」

「本当たくましい女だな。」

「嘘よ。わかってるんだから。あんたが私以外の女で満足できないこと。」


 そう言って笑うと雅は少しだけ驚いた表情をしていた。それからいつもの調子に戻って「…どっから来てんのその自信。」と問い掛けてきていた。


「何でかな。でも黒崎にしたいほど好きだったんでしょ?私のこと。」


 私の言葉にふと笑みを零すと、肩を抱き寄せてきてそのまま触れるだけのキスをする。私以外で駄目なのかどうかはともかく、今現段階で雅から誰よりも愛を貰っているのは私だと分かっていたから、こんなに自信満々言えたのだと思う。


「そうだよ、てか出会った時からずっと俺のにするって決めてた。」

「あんたも私のだって自覚してよね。」


 しつこいくらいの愛を受けなければ自分の気持ちに気付けなかったけれど、ようやく気付けたから。これからはこの男に負けないくらいの愛を私も渡し続けたい。
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