執拗に愛されて、愛して
「面倒くせぇ女本当嫌いだけど、何でこんな悪くないって思えんだろうな。」

「面倒くせぇ男がよく言うわね。」

「お前本当、黙らせられたいみたいね。」


 そう言いながら顔を近付けてくる雅の頬を掌で笑いながら押す。


「すぐ外でキスしてこようとしないでよ!」

「家でなら良いの?」

「外でそう言う事言うな!バカ!」


 可笑しくて仕方ないこの会話に笑っていると、ふと雅が表情を和らげていたのが見えた。その瞬間流石に笑いが引っ込んだ。

 そんなに優しい表情をして、いつから私の事を見ていたのか。


「な、何。」

「いつも通りに戻って良かったなって思っただけ。そうやって楽しそうに笑ってる顔も可愛いなって思っただけ。」

「……。」


 何も反応出来なかったのが思わず照れてしまったのを隠す様に、耳を隠していた髪を掛けた。

 もうすぐ28になるのにどうしてこんなに照れくさいのか。可愛いと言われる年齢もとっくに過ぎているし、そう言われて喜ぶ年齢じゃないのに、いつ言われても照れくさい。


「うわ、照れてんの?珍しい。」

「子供みたいな揶揄い方したらあんたの口捻り曲げるから。」

「お前の脅し独特すぎだろ。」


 交際前から何も変わらないけど、今の私達はしばらくまだこれで良い。いや、これが良い。
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