執拗に愛されて、愛して
「あ、来週の土日空けといてくんね?」

「は?何で?」

「来週休み取ったから、写真撮りに行こ。もうフォトスタジオも予約した。」


 まさかの言葉に口が開く。

 今、何て言った?この男。写真?フォトスタジオ?休み?

 この男から聞き慣れないワードが出てきて、困惑はするけど少し面白い。笑ってしまったら間違いなく不機嫌になるだろうけれど。


「え、待って。どういう事?」

「結婚した記念写真?土曜日は衣装選んだり打ち合わせでそのまま最短で日曜日に撮ってくれるって。」


 普通そんな話とんとん拍子で行かないだろ。と、そんなツッコミも出なくなる程驚いたし、あんなにタキシードなんてだるいとか言ってたのに?と考えて、思わず笑ってしまう。

 相変わらず素直じゃないというか、なんというか。


「何笑ってんの。」

「ねぇ、何の心変わりなの?」

「別に。一生に一度だしいいじゃん。」


 そう言いながら意味も無くテレビをつけて、もうこちらも見ていない。

 この男は本当に素直じゃないから、その行為が何となく照れ隠しなのも分かってしまった。本当可笑しい。それでいてこういう所愛おしい。


「そこまでしてくれるって思ってなかった。嬉しい。」

「別に夏帆の為じゃねぇよ。」

「何なの、ツンデレ?」

「誰がツンデレだ、あほ。」


 呆れた様に笑っては、その後少しふといつもの表情に戻ってからは「本当に、俺がそうしたかっただけ」とだけ呟いて、またテレビの方を向いてしまう。

 その何での部分を聞きたいのに、きっと雅は答えてくれないだろうな。
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