執拗に愛されて、愛して
 シャワーを浴びて髪まで乾かすと寝室にいる雅を起こす為に顔を出した。

 雅はすでに起きていて、スマホに視線を落としている。私の存在に気付いてからスマホの画面を落として、ベッドから立ち上がってこちらに近付いてきた。それから私の髪を軽く持ち上げて、口付ける。


「な、何?」

「…やっとちょっと安心した。昨日まで匂い違ったから。」


 ここ最近ホテル暮らしだったし、洗濯とかしても家とは違うものを使っていたからかもしれない。いつもと違う匂いは落ち着かなかったらしい。


「…今までどこ泊ってた?仕事行ってたんだし実家では無いだろ。」

「…ホテルに泊まってた。」

「典型的な家出少女だな。」

「もうそんなこと言われる年齢じゃないわよ。」


 私の発言に少し笑うと額に口付けて、そのままリビングのダイニングテーブルの方に連れて行く。

 座れと言われてはいないけど、なんとなく促されている事が分かって大人しく座ると雅がコーヒーの準備をしてくれる。

 何だかんだこの時間も久しぶりなのかも。2人でこんな風に過ごす朝も。
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