執拗に愛されて、愛して
「雅は、どこに行ってたの?」

「朝まで開いてるバー入ったり、玲の家に転がったり」

「本当何から何まで申し訳ない、玲くんには。」

「うざいから仲直りしてこいって言われた。」


 そう言って笑ってコーヒーを淹れるといつものマグカップを私の前に置く。「ありがとう」とお礼だけ言って、そのマグカップを両手で持って軽く息を吹きかけて冷ましてから飲む。


「…本当に、仕事の方が大事だって思ってた?俺、そんなに邪魔してた?」


 不意に問い掛けられた言葉に驚いた。普段あんなに自信たっぷりな男が、切ない声でそんな事言うから。


「違う、違うの。雅は、もう私なんてどうでもいいって思っちゃったかもともって、そしたらもうとことん嫌いになってもらって別れられたらって思っただけで、…あんなの、本心じゃないの。」

「どうでもいいって…、そんなの思ってたらあんなに怒らないし、あんなに必死になって連絡取ろうとしないだろ。」

「そんなの分からないわよ。私が話したい時に雅はこの家に帰ってこなかったから。」

「そんなん、あんな言い方した後で、帰りにくかっただけ。」

「だったら、言い過ぎた、ごめん。で終わりじゃないの?」

「そもそも、酒弱い癖に何後輩の肩代わりなんてしてんだよ。案の定男に肩借りてバカじゃねぇの。」

「あんたの酒弱いは大体弱いでしょうが~~~~!」


 もはや何の言い合いかも分からない会話をしているけど、ふとこれが私達"らしい"のだと再認識した。

 言いたい事言い合えていて、それでいてお互いに一緒に居るための会話がこのやり方なんだって。雅も同じことを思ったのか少し笑って「あほらし」と言葉に漏らしている。


「でも、約束守れなかったのも私が悪いと思ってる。ごめんなさい。」

「…まるで親に怒られた子供みてぇだな。俺との約束なんて碌に守った事もねぇくせに。」

「言いすぎでしょ。」

「事実だろ。甘やかされて育った箱入り娘の夏帆ちゃんは。」


 この馬鹿にするような言い方はムカついて仕方ない。
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