執拗に愛されて、愛して
 写真を見るとスーツ姿で会社の人と写っている写真もあった。

 会社の人がカメラを構えて、それを雅は少し気の抜けた表情で見ている。そんな顔が何だか可愛くて笑ってしまった。不意打ちで取られたものだったのか、笑っているわけでもなく本当にきょとんとしている表情をしている。


「この先輩との写真多いね。」

「よく俺と写真撮って、これで女との飲み会立ててたからな。」

「うわ、ずる。」


 雅で釣って来た女性を口説いていたのかと思うと複雑だ。きっとそういうこと沢山あったのだと思う。考えても仕方ないけど、そう言う風な利用のされ方をして気分のいい物では無かったと思うから。


「嫌じゃ、なかった?」

「いや、慣れてたし職場の人だからどうでも良かった。俺は良い時に勝手に帰ってたし。」

「遊んだ時もあったでしょ?」

「それは…、って、そんなこと聞きてぇの?」

「ただの興味、と言うか遊んでいたって言われても驚かないし。」


 この男のその手の話は慣れている。

 ただ、少しでもそう言う利用のされ方が無くなればいいのにと思っただけ。雅の酷い話なんて今更聞いても引いたりなんてしない。


「ま、そういうこともあったんじゃん?モテてたし。」

「本当清々しいわね、あんた。」


 少し笑うとスマホを渡すと片手でハンドルを握りながらスマホを受け取った。


「そう考えたら昔から、重たい…。」

「今言う?それ。てか今更だろ。」

「大学時代考えたら信じられないでしょ…。」

「大学時代をそもそも覚えてない。何年前の話してんだよ。」


 何年前とかって言葉が出ると年を取ったなと言う感じがする。

 もうそんなに経つんだ。雅と一緒になる様になってからはまだそんなに長くないのに。空白の5年間が随分大きなものに感じた。
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