執拗に愛されて、愛して
「結婚か、好きな人が居たら別だろうけどね。」

「私の事好きじゃなくて、お互い干渉しなくて良くて好きな様にさせてくれる人なら結婚したいかも。困った時だけ助け合えるそんな人。」

「お前本当自由だな。」


 飛んでくるツッコミに少し笑ってお酒を喉奥に流し込む。そんな相手が居ないのは分かっているから、結婚なんてしたくない。

 そもそも結婚とか恋愛に何も期待もしてなければとっくに出会いを諦めているし、私は自己中心的だから死ぬまで自分の為に時間を使っていたい。好きな事だけして、悔いの残らない人生を送りたい。

 雅が何かを考える表情をした後、とんでもない事を口にする。


「とりあえず付き合ってる相手いる事アピールできればいいんだろ?俺がやってやろうか?」

「ええ…。」

「お前、人が協力してやるつってんのに何だその嫌そうな顔。」


 まさか雅からそんな提案が出るとは思っていなかったし驚いた。こういうの一番面倒だって言いそうだし、巻き込まれるのもごめんだっていう考えだと思っていたから。

 うちの両親も雅のことは知っているし、気に入ってすらいたから、もし縒りを戻しましたなんて報告したらきっと大喜びする。

 だけれど、騙すことすら気が重いのに、その共犯に雅を選ぶなんて、面倒なことが起きる気しかしない。


「…うーん。」

「とりあえず一旦見合いとかの話は無くなるだろ。夏帆の恋人役やってもいいよ。」


 元カレに恋人役を頼むのも中々変。てか、かなり変。冷静になって考えたいのに、もう彼氏を見つけろだの言われなくなるのはかなり魅力的で、今この悪魔の手を取りたいなんて思い始めている。

 それに雅ならきっと躊躇わず嘘に協力してくれる。
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