執拗に愛されて、愛して
『俺が行く。それとさ、俺が泊まる所決めても良い?』

「あんたに任せたら部屋一緒にされそうだし、無理。そうなったら私だけ実家に泊まるから。」

『それで怪しまれて困るのお前だろうが。』


 確かに私だけ実家に泊まるとなれば、特に母が『雅くんと喧嘩してたの?』とか、『どうして交際してるのに別々に泊まるの?』とか、根掘り葉掘り聞いてくるに違いない。そう思えば、雅の言葉に何も言い返せなかった。

 だとしても、同じ宿で泊まるなんて、あの日と同じ事になるに決まっている。


『もう良くね?割り切った関係もありじゃん?』

「ここまで清々しいと、もはや気持ちが良いわね。」

『そんなに嫌?俺とそういう関係になるの。』

「逆にクズに抱かれて嬉しいって思う女がどこに居ると思う?あんたが私をいかに安く考えているかよく理解したわ。」

『何言ってんの。俺可愛い子しか抱かないから、希少だよ。』

「お願いだから死んで。」


 そんな言葉で嬉しいと思うなこのクズが。


『とりあえず楽しみにしてて。良い所予約するから。』

「…色々準備あるから切る。またね。」


 それだけ言うと電話を切り、溜息を吐いた。

 この男が絶対に部屋を分けたりなんてするはずがない。どうせ同部屋になって、そういう流れになるに決まっている。

 この時点でもう諦めもついて、今からあの男に手出されることを覚悟しなければならなかった。
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