執拗に愛されて、愛して
「結んでんのもエロいけど、解いてる方が好き。」

「あんたの好みなんて知らないんですけどというか、中居さん来るかもしれないでしょ。離れて。」

「もう料理なんて目に入んない。抱きたいんだけど。」


 あまり力が入らない手で押しても、雅は離れてくれないし、むしろいつ人が来るか分からないスリルを楽しんでいる様な気がする。

 強引に顔を向けさせられて唇が当たるか当たらないかくらいまでの距離まで詰められる。


「キスだけでもしたい。」

「ダメに決まってるでしょ。離れて。」

「無理なお願いじゃね?」

「本当あんたって男は…!」


 そう言っている間にも唇が重なって、逃げようとしても髪に手を掻き入れて後頭部を抑え付けられていて逃げられない。

 お互いアルコールの匂いを香らせて、この男の場合は更に煙草の苦い味もしてきて顔を顰める。煙草を吸ったことは無いけど、この男とのキスで煙草を味合わせられて、どうしてあんなものにはまるのか増々理解が出来なくなる。

 雅の浴衣の胸元をぐっと掴んで必死に応えているとそこでようやくキスが止んで離れた。


「…早く片付けてもらわね?これ。」

「残すの、もったいない。こんな料理早々食べられないのに。」

「また連れて来てやるからその時食ったら良いじゃん。」


 そう言って立ち上がり、部屋の受話器を取って受付に電話をする。

 この男に今から抱かれると思いながら待っているこの時間が恥ずかしくて仕方がない。
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