執拗に愛されて、愛して
 そして私は何かに呪われているのだろうか。会いたくないと思っている時に限って毎度出会ってしまう。

 仕事終わりに少し買い物して帰ろうと街中を経由したら今から出勤するであろうこの男と会ってしまった。この男とは当然雅の事である。もはや何の反応もしたくない。

 穏やかな生活ってどこ消えたのかしら。私の生活ってこんなに誰かに踏み込まれるものだった?最近私の生活に常にこいつがいる気がするのは気のせい?なんてグルグルと頭の中で考え事をする。

 目の前の雅は出会ったことに驚くでもなく、当たり前に目の前にいて、当たり前に話しかけてくる。


「夏帆、今からバー来んの?」

「行かない、明日も仕事なんだけど。」


 そう答えているのに手首を掴んでくる雅にもはや虚無で答える。逃がす気もないようで、抵抗をするのも面倒だった。何かもうすべて面倒だわ。と、もはや好きにして状態。


「てか最近お前以外の女切ったんだけど。」

「へー、何で?」


 興味もないけど、一応聞いておく。雅が私以外の女性との関係を切ったから何なんだ。私には何の関係もない。

 この時の私は両親へ挨拶に行った時の自分の発言と、それに対して雅が言ったことを全く覚えてなんていなかった。




『もう諦めた、あんたも寂しいんでしょ。時々だったら慰めてあげる。』

『お前が遊んでくれるなら他いらないかも、お前に勝てる女なんか居ないよ。』




 こんな会話も覚えていられないくらい、正直色々ありすぎて疲弊していた。
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