執拗に愛されて、愛して
「だって夏帆が遊んでくれるって言ったじゃん?」

「言って…!」


 いや、言った。言ったけど、 雅も確かにお前だけでいいとか言ってたけど、盛り上がって言った事だって思っていたし、真に受けていなかった。

 何、この男。ノリも分かるし空気読める癖に、何でそういうの真に受けるの…。と絶望感から両手で顔を覆う。


「とか言いながら今日、俺もバー休みなんだよね。どっか飲みに行くだけだったし、家行って良い?」

「だから明日仕事なんだってば!」


 そう言いながら腕を引かれて私の家の方に既に向かっている。この男に家を知られているから迷いすらない。


「人の話を!聞け!警察に通報するわよ!」

「何て言うの?人の話聞いてくれないんですけど〜って?」

「バカか!本当に!」


 そんな言い合いをしながらも、腕を掴んでいる手は一向に緩まない。この男をあの日以来家にあげることは絶対にしないと思っていたから、このまま家に押しかけられるのも困る。

 翌日も仕事だし、この男の気まぐれな遊びに付き合っている余裕もない。

 叫び出したくなるのを必死に堪えて、これから何が起きるか分からない恐怖に心臓がバクバクと鳴っていた。
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