執拗に愛されて、愛して
 ようやく唇から離れると、今度は身体の至るところに口づけをしてくる。このまま流されそうな雰囲気になっていて、体を突き放すと、今度は耳元で甘い言葉をささやく。


「ねぇ、戻ってきて。こんなに夏帆の事好きなの、俺しかいないよ。」

「ちょっと!やりすぎ!」

「専業主夫ととか、都合のいい関係とかそんな風に言うなよ。俺がいいって言って。」


 必死な声に目をぎゅっと瞑って顔を見ないようにした。

 まずい、危険すぎる。そんな風に縋る様に言われて顔まで見てしまったら間違いなく、ダメな方に転がる。

 落ち着かせてから、話を逸らそうと必死になる。


「雅、酔ってんの?飲んできた?」

「酔ってないし、飲んでない。」


 もう付き合う気なんてないのに、このまま余裕なく攻められて絆されそうになる。何で今更こんなに求めてくるのか分からない。私はずっとあの日で終わったと思っていたのに、雅の中でそうではなかったとでもいうのか。

 雅ももしかしたらあの日別れたことを少し後悔してくれていたのかもなんて、勘違いしそうになる。本当に後悔していたら、他の女となんて遊ばないでしょと自分の中で結論付けて、雅にそんな気はないとずっと言ってきたのに、今のこの行動の意味が説明付かない。

 来る者拒まず、去る者追わずなあんたが、こんな風に私に迫ってくるわけがない。
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