執拗に愛されて、愛して
「ドキドキしてね?」


 楽しそうに笑っている雅の顔がうまく見れなくなる。悔しいけど、交際している時のことを思い出してときめいてしまってる。


「好きだよ、夏帆。」


 そう甘く囁くと、今度は私の耳を両手で塞いで深くキスをされる。耳を塞がれているせいで、口内で鳴る水音が響いていておかしくなりそう。

 このドキドキはキスのせい。告白のせいなんかじゃないなんて、言い訳をして流れに身を任せる。

 またいつかあの日の様に離れるかもしれないならもう手に入らないほうが良い。また焦がれる程に好きになってから、失うのは怖いから。

 だからもう誰にも本気で恋なんてしないと決めていたのに、簡単にまた恋を始められそうになっていて、自分の学習能力の無さに本当に嫌気がさす。

 人の気も知らずに好きだとか、可愛いとかあの頃の様に言葉を吐いてくる雅。もう流されたくない。

 キスはずっと止んでくれなくて、気持ちよくて頭がふわふわして、だんだん何も考えられなくなる。
< 96 / 331 >

この作品をシェア

pagetop