お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「あぁ奈都子、響くんもここにいたか。お友達とお楽しみのところすまないが、葵ちゃんと爽維くんも一緒に4人でちょっと来てくれないか。お客様がいらして、お前達にも会いたいと言っててな。父さんは先に戻って、向こうの入口辺りで待ってるから」

友達との歓談中にお父さんにそう呼ばれ4人で向かうと、そのお客様とは川八酒販の社長さんだった。
以前何かのパーティーでお会いしたことがあるけど、とても気の良いおじさまだったと覚えている。

偶然にも今日、同じこのホテル内で会社の謝恩会をされているそうで、今はそちらを抜け出して来て下さったみたい。

久しぶりにお会いした社長さんからお祝いの言葉と素敵なお品を頂いたのでお礼を述べると、「いや、お礼なんて……本当に…うちの家族が奈都子さんと響くんに大変なご迷惑をお掛けして…」と、急に言葉尻が細くなった。

…?何の事だろう?

社長さんの次の言葉を待っていると、ホール後方付近の扉がガタガタと音を立てたかと思うと、すぐさま騒がしい声が聞こえてきた。

「お嬢様!駄目です!入らないで下さい!」
「奥様もやめて下さい!…誰か!この人達を捕まえて下さい!」

誰かを制しようとするその男女の声を聞いた川八酒販の社長さんが焦った様子で扉の方へ駆け出したのだけど、そこへ辿り着く前に扉が勢いよくバーンッ!と開いた。


「響さん!どこ!? 響さんてば!私と結婚するんでしょお!ねぇ、響さん!」

会場にバタバタと入ってきたのは、白いドレスの様な衣裳の川嶋さんで、彼女は名前を叫びながら響を探していた。
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