お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
その様子をハラハラしながら見ていたら、横にいた響がスッと私の前に出て、「大丈夫、奈都子には指一本触れさせねぇから」と私を庇うように腕を回してくれた。

響……

その気持ちが嬉しくて胸がじぃんと熱くなっていたら、今度は葵と爽維くんが私を挟むように両脇に来てくれた。

「桜賀、後ろはあたしらに任せな」
「あぁ、頼んだ」

響はチラと後ろを振り返りながら葵に答え、それから川嶋さんのいる方へ向くと、少し声を張って言った。

「川嶋!何しに来た!」


その声に気付いた彼女は、パアッと嬉しそうな顔を見せ、足取り軽くこちらに向かってきた。

「響さんっ!ねっ、私と結婚しよ?絶対にお似合いだし!」
「俺の妻は一生、奈都子だけだ。他の誰とも結婚する気はない」

その声は、聞いたことがないくらい、とても冷ややかなトーン。

「じゃあ、その奈都子さんが浮気してたら?」

「…何が言いたい」

「あのね、奈都子さんてば今日、元カレの間宮さんと隠れて二人っきりで会ってたんだから。知らなかったでしょ?…もしかしたら赤ちゃんできちゃったかも知れないんだよ?そんな人を奥さんになんてできないでしょ?そんな貞操観念のない人なんて許せないよね?」

そう得意気な顔で言う川嶋さんに対し、響のクッと笑った声が聞こえた。

「その猿芝居、滑稽でしかねぇな。その件ならもう全てお見通しなんだが?」

「え?」

「お前らの企みは知ってんだよ。それで先手を打っといたから奈都子は無事だ。あの男は本気で奈都子を手込めにしようとしていたみたいだが、屈強な男らに取り押さえられたぞ」

「な…」

そっと響の脇から前を伺うと、川嶋さんの表情に少し苛立ちが見えた。

…しかしそれも束の間、川嶋さんはまた響を見ると、上目遣いで腹黒そうな笑みを浮かべた。

「じゃあ…響さんはどうなの?」

「何がだ」

「響さん、私と一夜を共にしたじゃない。あんなに私のこと可愛いって言いながら抱いてくれたのに、どうしてそんなこと言うの?…私も赤ちゃんができてるかもしれないのに?」

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