お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
現在の響は、昨年退職された富永さんの後継として副社長であるお母さんの秘書を務めている。
そのお母さんもあと数年で定年を迎えるため、今は副社長を支えながら副社長の業務を覚えているそう。

と言っても響がすぐに副社長になるわけではないんだけど、常日頃「俺もいつかは母さん達の様な、会社も、お客様も、もちろん社員も、会社に関わる全ての人達を大事に思う経営者になりてぇな」と言いながら日々の努力を惜しまない響なら、きっとそう遠い未来ではないんじゃないかな。


私は相変わらず窓口のオフィスで葵と一緒にチーフとして働いていて、平日は毎朝、職場近くにある幼稚園に萌音を預けて出勤しているの。
しかも、葵と爽維くんの愛息で、萌音の1歳下の琉維(るい)くんも一緒。
ここは未就園児保育もあって、琉維くんと萌音は小さい頃からこちらにお世話になっているんだ。


萌音の幼稚園への送迎は基本私がしていて、私の都合が悪い時は響が行ってくれている。
のだけど…

あれは萌音が2歳の頃だったかな。
幼稚園の若い女の先生が響に一目惚れしたとかで、萌音の送迎でたまに響が出向くと、若さと可愛さを武器に猛アタックしてきて、トラブルになりかけた事もあったんだよね。

でも、私と一緒にお迎えに行った響が、先生方や他のママさん達がいる前で、あのゴールデンスマイルを放ちながら堂々と宣言してくれたの。
「私が愛するのは妻の奈都子だけですし、他の女性には一切興味はありませんので」って。

しかもその時はちょうど葵もその場にいて、「桜賀のナツコへの溺愛はホント胸やけする位甘々で~」と溺愛エピソードを話してくれたお陰か、その先生は大人しくなったけどね。

それから響は幼稚園で〝奥さんに激甘なイケメン溺愛愛妻家〞として有名になっちゃった。ふふっ

響のモテエピソードはもちろん仕事関係でも健在で、妻としては心配になることも多いのだけど、その幼稚園の先生に言った様に、響は誰に対してもキッパリと断言してくれるからか、今のところは大きなトラブルも起こっていないんだ。

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